43人が本棚に入れています
本棚に追加
「里緒、起きろ。着いたぞ」
亮佑に肩を揺さ振られ目を覚ました。
「ん………ここ……?」
「ほんっと寝起き悪いな。瑞梨透真の実家だよ。」
「ん。ゴメ………途中で起きるつもりだったんだけど…」
「オレもまさか8時間も寝てるとは思ってなかった。」
瑞梨透真の実家のあるM県の県庁所在地S市。
「今日はもう遅いから明日にしよう。ホテルはもう予約してあるから。」
「…えぇ。」
寝起きの覚束ない頭でそう答えてから、亮佑が買っておいてくれたのだろう緑茶のペットボトルに手をのばす。
亮佑はブラックの缶コーヒーを置き、すでに煙草でいっぱいになった灰皿の中にさらに煙草を押しつける。
私が眠っている間に何本吸ったのだろうか。
「禁煙するんじゃなかった?」
「やめた。」
「……そう」
煙草の匂いは嫌いじゃなかった。
「亮佑。」
「ん?」
「私…………」
「事件に関係のない事は今言わなくてもいいだろう」
「…………はい。」
最初のコメントを投稿しよう!