幕開け

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車で20分の本庁、オレの職場へ向かう。 「悪い、遅くなった。」 「あ、亮佑。こっち……」 馬鹿…………。 その場にいた刑事たちの視線を一身に感じつつ、オレは里緒の隣に座りながら手で事件の資料を催促する。 「田並警部。」 「………申し訳ありません。田並警部。これが今回の事件の資料です。」 いきなり冷めた目で資料を渡された。 やることが極端なんだよ。 コーヒーを一口飲んでから里緒から資料をはぎ取る。 資料と一緒に添付されていたのは、全裸の女性のバラバラ死体。 肘から下、足の付け根から下、首、手足の指一本一本が切り落とされている。 腹部には彼女の血で書かれたのかハートが一つ…。 「必要以上にグロいな。」 「そうかしら?見慣れたわ。……そんな事より、精神異常者の仕業かしらね。これ。」 眉ひとつ歪めず里緒が答える。 こいつ、さっきオレの事『ホントに男か?』って言ったよな…? おまえこそ…… 「犯人を捕まえてみればわかるだろ。」 「舌も切り落としてるのよ。異常じゃない。」 ホントに女か? 「殺人犯なんてだいたい異常に決まってるだろ。」 「……そうね。」
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