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ガキィ……ン!
思わず目をつぶっていた俺の耳に金属音がこだまする。
俺はおもわず目を開けた……
目の前には大きな鎌と、それに押さえられているファントムの右手。そして鎌をもつ一人の女の子が立っていた。
姫乃じゃない……
「君、大丈夫?間一髪だったよぅ」
その少女が言った。
俺はあっけにとられ
「あ、ああ」
と、気のない返事しかできなかった。
「ボクの事はいいから、早くリオのところに行ってあげて♪」
「あ、あぁわかった」
そうだ。今はこいつらを倒す事を考えよう!
ん?でも今ボクって言ったよな?女の子にしか見えないんだが…………
「こっちはボクにまかせて!早く!」
えぇい、もう!考えるのはあとだ!
俺は軋む体を動かして、再びファントムと戦っている姫乃に駆け寄った。
「ごめん姫乃!心配かけちまって!大丈夫か?」
姫乃と繋がっている事を俺は忘れてしまっていた。
俺がファントムに攻撃を受けた時、姫乃も同じダメージを受けていたんだ。だからあの時腹を押さえて
「いい」
姫乃は短くそう言って
「私は大丈夫。二人で一つの体を使うという事はそれぞれの受けるダメージを半分にする事ができるから。まずはこいつを」
と、ファントムの方を指差した。
そうか、だから確実に肋骨が折れてそうな攻撃だったのに無事なのか。けど、受けたダメージは姫乃と一緒だ。早く終わらせて姫乃を休ませてあげたい!
「ああ、さっさと終わらせよう!」
科学的に言うと、俺達のシンクロ率が上がった気がした。
今ならやれる…………
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