~戦乱の歌~

9/14

69人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
ガキィ……ン! 思わず目をつぶっていた俺の耳に金属音がこだまする。 俺はおもわず目を開けた…… 目の前には大きな鎌と、それに押さえられているファントムの右手。そして鎌をもつ一人の女の子が立っていた。 姫乃じゃない…… 「君、大丈夫?間一髪だったよぅ」 その少女が言った。 俺はあっけにとられ 「あ、ああ」 と、気のない返事しかできなかった。 「ボクの事はいいから、早くリオのところに行ってあげて♪」 「あ、あぁわかった」 そうだ。今はこいつらを倒す事を考えよう! ん?でも今ボクって言ったよな?女の子にしか見えないんだが………… 「こっちはボクにまかせて!早く!」 えぇい、もう!考えるのはあとだ! 俺は軋む体を動かして、再びファントムと戦っている姫乃に駆け寄った。 「ごめん姫乃!心配かけちまって!大丈夫か?」 姫乃と繋がっている事を俺は忘れてしまっていた。 俺がファントムに攻撃を受けた時、姫乃も同じダメージを受けていたんだ。だからあの時腹を押さえて 「いい」 姫乃は短くそう言って 「私は大丈夫。二人で一つの体を使うという事はそれぞれの受けるダメージを半分にする事ができるから。まずはこいつを」 と、ファントムの方を指差した。 そうか、だから確実に肋骨が折れてそうな攻撃だったのに無事なのか。けど、受けたダメージは姫乃と一緒だ。早く終わらせて姫乃を休ませてあげたい! 「ああ、さっさと終わらせよう!」 科学的に言うと、俺達のシンクロ率が上がった気がした。 今ならやれる…………
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加