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夜の10時、消灯時間になった病院は、いつもより一層静けさを引き立たせていた。
予定通り、リンの病室に向かう。
病室に着くと、軽くノックをして中に入った。
そこには、月明かりをバックに私服姿のリンがいた。
白いワンピース
長い黒髪が、月明かりに照らされ、
彼女は、天使のように見えた。
「こんばんわ、・・これ似合うかな?」
そう、問いかけてきた。
「・・・」
あまりの綺麗さに、俺は、言葉を発する事ができなかった。
「・・やっぱり、似合わないのかな。。」
下を向いて落ち込んでいる彼女を見て俺は、正気を取り戻した。
「いや、違うんだ!その、あまりに綺麗だったから、見とれてて。」
こんな恥ずかしい言葉をよく言えたものだと。今の自分に心の中でエールを送った。
「 ホントに? 」
上目遣いに問いかけてくる、彼女を凝視できなかった。
「ホント!だから、早く海に行こ。」
恥ずかしさを隠すため、リンの手を引いて自転車が置いてある非常口に向かう。
あらかじめ、巡回ルートを確認していたので見つからずにすんだ。
非常口前に着き
自転車の荷台に彼女を乗せ、海へと向かった。
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