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海へと着いた俺たちは、月の光に反射してキラキラと輝く砂浜に腰かけた。
「キレイ、」
そう彼女は呟いた。
「キレイだよな。」
二人して、静かな砂浜にいると世界には俺たち以外の誰も居ない。そんな、錯覚を起こしてしまう。
時間なんか、なければいい。
このまま時が止まればいい。
そんな事をいくら考えても、リンの時間は変わらない。
後どれくらい一緒に居られるのだろう。
後どれくらいこんな幸せな事を迎えることができるだろうか。
そんな事を考えていると、隣から声が聞こえてきた。
「・・ありがとう。」
振り返ると、唇に暖かな感触があった。
それが彼女の唇だとわかると、俺は目を閉じた。
口と口を合わせるだけ、そんな子供じみた行為だった。
けど、俺は、幸せだった。
この時間が永遠であると信じて。
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