150人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
俺は一人、手術室の前で立っていた。
時計の針が一つ進むのでさえ、何分にも感じられる。
俺に何ができるだろうか。リンが今、必死で病気と闘っているのに、一人待つことしかできていない。。
「・・リン」
手術が始まってから、4時間が過ぎたとき赤いランプが消えた。
「リン!」
俺は走った、期待と不安を胸に秘めて
「手術は、成功したんですか!」
親族でもない自分に教えてもらえるとは思わなかった。
けど、どうしても、結果が知りたいという一心で俺は医者に尋ねた。
「・・・」
「お願いします!教えて下さい」
俺は、その場で頭を下げた
「・・わからない」
「えっ」
俺は、この言葉の意味が理解できなかった。
「・・わからないって、どういうことですか。」
少し、怒りを感じていたが、それを抑えて静かに尋ねた。
「手術は成功したはずなんだ。だが、意識が一向に回復しない。」
「・・それって」
「最悪、このまま意識が戻らないということもあるという事だ」
その瞬間、周りのもの全てが静止したかのような錯覚を覚えた。
・・・今、泣いちゃだめだ。リンのいる前で泣くことはできない。
俺は、自室に向かって歩き始めた。
「佐藤くん」
後ろから、さっきの医者が呼ぶ声が聞こえてきた
最初のコメントを投稿しよう!