羨望

4/8
前へ
/105ページ
次へ
入学2日目は授業はなかった。 HRとか集会とか。 とにかく眠い、退屈な時間ばかりだった。 午後には、午前中に決めた委員会ごとにミーティングをした。 ユイはクラス代表委員会に出るため、レンと旧校舎に向かった。 「レン…くん。場所わかる?」 レンがユイを見て言った。 「レンでいいって。」 ユイは顔を赤くして俯きながら答えた。 「だって…慣れてないの…。まともに男の子と話すの幼稚園以来だし…。」 レンはふぅーんと言って、 「じゃぁ、呼びやすいように呼んで。」 と言った。 「うん。ありがとう。」 ユイとレンの教室移動は、まるで大名行列のように周囲には生徒が溢れていた。 この時のユイは、レンと交わす一言一言が嬉しくて、周りなど見えていなかった。 羨望の影には嫉妬があることを、ユイはまだ知らなかった。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加