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3年C組の教室を見つけて戸を開けた。
中では数人の女生徒が化粧をしていた。
「あっ、来た来た!」
「マジかわいいね。」
ギャル風の3年生がユイを見つめる。
「あの…お手紙…。」
ユイは少し怯えるように言った。
「うちらが書いたの。」
「あのねー、注意してあげようと思ってー。」
「ていうか、お願い?」
3年生の笑った顔が余計に怖かった。
「レンくん。……高城 レンくん。知ってるでしょ?」
“レンくん?……”
「はい…知ってますけど…。」
「うちら、レンくんのファンなんだー。」
「レンくん、カッコいいじゃん?」
何が言いたいのかユイにはわからなかった。
「あんた、確かにかわいいけどー…近すぎじゃね?」
「調子に乗らない方がいいんじゃない?」
「あんた、親もスゴィから調子に乗るのもわかるけどー。」
“何を言ってるんだろう。”
ユイは状況が掴めずにいた。
“レンくん?親?意味がわからない。”
「私…調子になんか乗ってません。」
弱々しく言うと3年生達が笑った。
「本当、かわいんだけどー。“私、調子に乗ってません”だってー。」
ユイをバカにするように真似をして笑っていた。
ユイは溢れてくる涙を必死にこらえた。
「なんか、そういうのがムカつくんだよね。」
一人が立ち上がり、ユイに向かって歩いて来た。
一歩、あとずさりして身構える。
“怖い…助けてっ…。”
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