羨望

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近付いて……。 手が伸びる……。 “誰か………っ!” 「ユイー。」 廊下で声がした。 「レンくん…?」 ユイは3年C組の戸を開けて叫んだ。 「レンっ!」 レンがユイを見つける。 涙目のユイを見て教室の中を覗くと、気まずそうな女生徒が数人いた。 状況を察知してユイに声をかけた。 「ユイ、何してんの?まだ片付け…残ってるよ?」 「先輩。こいつ、もぅ、いいですか?片付け残ってるんで。」 3年の女達は必死の笑顔を作って、 「いいよ。ユイちゃん、かわいいから…は、話してみたかっただけだし……ねっ?」 「う、うん。」 と言った。 「失礼します。」 レンは冷ややかな声で言って、お辞儀をした。 ユイの手を握り、A組の教室に歩き出した。 泣き出すユイ。 「怖かったよ……。」 レンの手を握り締めて小さな声で言った。
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