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A組の教室に戻ると、ユイは安心感から更に泣き出した。
レンの手を握り締めたまま。
レンがユイを引き寄せて、抱き締める。
ユイの背中を擦った。
頭を撫でた。
レンの手は、暖かかった。
「もぅ、大丈夫だよ。」
レンの言葉に、
レンの手の温もりに、
ユイは安心した。
涙が止まった。
レンの腕の中から離れて、
「ありがとう…。」
俯きながら言った。
無言の時間が過ぎる…。
「帰ろう。もぅ暗いから送ってく。」
バッグを持って並んで歩き出した。
「さっき…。」
レンが言った。
「え?」
「言えたじゃん。“レン”って…。」
あの時、ユイは夢中でレンを呼んだ。
“くん”を忘れるくらい夢中で…。
「あ、あの時は…。」
恥ずかしくて俯くユイに、
「嬉しかった。」
とレンが言った。
そう言われると余計に恥ずかしくなった。
「昔より一歩…近付いた…。」
駅の雑踏の中、ユイはレンの言葉が聞こえなかった。
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