記憶

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ユイが客間に行くと、レンは父親と盛り上がっていた。 「パパ、心配かけてゴメンなさい。」 ユイが父親に言った。 「大丈夫。話は聞いたよ。高城くんに感謝しなきゃな。」 そう言って父親はユイの頭を撫でた。 「ユイは高城くんのこと覚えてるのかい?」 父親の言葉に目が丸くなる。 「ユイが…5歳の頃かな?一緒にCMに出たんだよ。」 “CM…?レンと一緒のCM?” ユイは記憶をさかのぼって思い出そうとした。 “……あれ?思い出せそうなのに……出てこない。” ユイの表情を見て父親が言った。 「ムリもないな。10年も前のことだし、レンくんも覚えていなかった。私もレンくんの親御さんの名前を聞いて気付いたくらいだ。こんなにいい青年になっていて驚いたよ。」 ユイはひっかかっているものを確かめたくて、メイドを呼び映像を探すように頼んだ。 「やっぱり!あの子だわ。見たことがあると思ったのよ。」 母親がスッキリしたように言った。 その時、迎えが到着したのでレンは丁寧なあいさつをして帰って行った。 「レンくん…レン、また明日ね。」 レンは微笑んで、 「また明日。」 と言った。 レンを見送り、リビングに行くと、メイドがユイが出ている10年前のCM全てを準備していた。
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