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バタバタと客間に入って来たユイに、驚きながらレンが立ち上がった。
「おはよう。映画、見に行かない?」
優しい笑顔で、レンがチケットを差し出した。
ユイは慌てて階段を駆け降りたせいで呼吸が整わない。
肩で息をしながら首を縦に振るユイにレンが近付く。
「せっかくのヘアメイクが崩れちゃうよ?」
と髪の乱れた部分を撫でた。
「ごちそうさまでした。遅くならないように送ってきますから。」
そう母親に告げると、ユイをエスコートして高城家の車に乗り込んだ。
母親に見送られてレンと出かける現実に、ユイの胸は熱くなり、呼吸が整ってからもドキドキは止まなかった。
「レン…今日はどうして?」
と突然のデートの理由を聞いた。
少し間を開けてレンが言った。
「だって、昨日“また明日”って言ったじゃん。」
ユイは思った。
“今日はドキドキが落ち着きそうもないなぁ。”
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