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新しい制服を着て…
サラサラの長い髪の毛をいつもより丁寧にブローして。
“少しお化粧もしちゃお…。”
長いまつ毛をビューラーであげて、マスカラを薄く塗った。
ピンク色のリップを塗って、鏡の前に立つ。
“よしっ。”
「ユイー。行くわよー。」
「はぁい。」
階段を降りると、いつもよりキレイな母親が、淡いピンクのスーツで立っていた。
元モデルで、45歳の子持ちには 見えない若々しくて美しい母親は、ユイの自慢だった。
父親は元俳優で大手芸能事務所の社長。
恵まれた家庭に育ったユイは、容姿も母親譲りの整った顔立ちに高校生とは思えないスタイルをもっていた。
「ママ!ユイ、変じゃない?」
母親はクスッと笑ってユイの頭を撫でた。
「変なわけないわ。あたしの子ですもの。」
母親とガレージに行くと父親が車のエンジンをかけて待っていた。
「ユイもマリアもキレイだな。」
と父親が微笑んだ。
ユイの両親は結婚して17年たった今でも名前で呼び合い、仲の良い夫婦だ。
3人で学校へ向かう。
高まる緊張と胸の鼓動を感じながら学校に近付く…。
小・中と私立の女子校だったユイは、両親と先生のすすめで有名大学の附属高校に進学を決めた。
学校の近くは、ユイと同じ制服で親に付き添われた子供がたくさんいた。
“わぁ…男の子だぁ…”
女子校育ちのユイには同じブレザーを着た男の子さえ珍しかった。
父親の車は来賓専用駐車場に通され、車を降りた。
父親は来賓として入学式に参加するので、ユイの背中をトンと叩いて理事長室へと歩いて行った。
母親と掲示板に張り出されたクラス表を見て1年A組に名前を見つけた。
ユイは緊張しながら母親の手を握り教室へと向かった。
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