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1年生の教室は4階で、A組は廊下の端だった。
教室に入る前にユイは、
「ママ!大丈夫?変じゃない?」
と聞いた。
「もぅ…3回目よ。大丈夫。かわいいわ。」
と言いながら、緊張する娘にピンクのリップを塗ってあげた。
教室の入り口に席順が書かれたプリントが置かれていた。
それを見てユイは、窓際の後ろから3番目の席に座った。
後ろに並んでいる保護者たちを見て母親にアイコンタクトを送る。
“ママが一番キレイだよ”
“かわいいわよ、ユイ”
ユイ達親子に注目が集まっていたのは言うまでもない。
保護者の中にユイの母親を知らない者はいなかった。
「あの人、モデルだったMariaよね?」
「結婚して引退したのよね。」
「娘もキレイね。」
中には母親にサインを頼む保護者もいた。
まるで小さな握手会になっていた。
そんな母親を見てユイは鼻が高かった。
でもユイが気になったのは隣の席。
空席が段々と埋まる中、ユイの隣の席は空いたままだった。
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