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“どんな人が来るのかな” その時、入り口から入ってきた女の子が叫んだ。 「ユイちゃん!」 ユイは少し驚いて立ち上がった。 「わかる?マナだよ!小学生の頃、一緒にお仕事したんだけど…。」 ユイは中学1年まで、ティーン誌のモデルや子役タレントとして、父親の事務所に所属していた。 中学2年からは学業に専念すると言って、芸能の仕事から離れたのだ。 「あっ!一緒にモデルやったマナちゃん?」 ユイが思い出した。 何人もいるモデルの中でも、表紙に載るのはユイかマナが多かった。 「そうそう。久しぶりだねー。仲良くしようね」 「うん、よろしくね!」 隣の席以外は全て埋まった。 9時から式が始まる。 5分前に先生がきた。 まだ若くて、いかにも“育ちがよさそうな”爽やかな印象の男性教諭。 「みなさんの担任の松岡祐希です。英語を担当します。5分後にはA組から入場していきます。前の人に続いて入場してください」 入場間近になって、男の子が入ってきた。 「すいません。寝坊しました。」 そう言ってユイの隣の席に座った。 背が高くて、短い髪を立てて、同じ年とは思えない雰囲気の男の子。 ユイは心臓がドクンとなったのが聞こえた。 切れ長の目に長いまつ毛。 程よく日焼けした肌の色。 “カッコいい…。” 初めてのドキドキにユイの緊張が増す。 「それでは入場します。」 ドキドキしながら入学式にのぞんだ。 ユイの緊張のドキドキは、今まで感じたことのないドキドキに変わっていた。
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