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入学式はとにかく眠い。 来賓はざっと10人はいるし、校長、理事長…生徒会長。 何度も似たような話を聞かなければならない。 来賓の中に父親がいようとつまらないものは つまらない。 ユイは首席入学なので新入生代表あいさつを任されていた。 自分の名前が呼ばれるのを眠さに耐えながら待つ。 ユイの名前が呼ばれ、壇上にあがる。 ありきたりな文を読み、礼をする。 「入学記念品贈呈。新入生を代表して大咲 ユイ。高城 レン。」 ユイが壇上に残っているともぅ一人の代表者の名前が呼ばれ男の子が返事をして壇上に上がってきた。 “彼だ…!” 隣の席の男の子だった。 入試の成績が同点だったので、彼も代表として記念品贈呈を任されていたのだ。 ユイはあいさつを読むより高城 レンと壇上に立つ方がドキドキした。 一度は静まった心臓が再び動きだし、足が震えながら花束だのを受け取り、壇上を降りた。 その後のことは緊張で覚えていない。 覚えているのは、 “高城 レン” 彼の名前……。
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