羨望

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登校すると、すでにユイは有名だった。 元モデルの娘。 整った顔立ちに抜群のスタイル。 首席入学…。 これだけ揃えば、有名になるのは当然と言っていい。 「かわいいー。」 「髪の毛サラサラー。」 「足、長っ。」 ユイを間近で見て、生徒は憧れのまなざしで見つめる。 教室に入ると、マナが笑顔で駆け寄ってきた。 「おはよー。」 「おはよ。」 笑顔を返す。 マナはユイの人気を羨むように話し出した。 「ユイちゃん、ちょー有名だねー。他のクラスの人まで見に来てる。」 教室の入り口には人だかりができていた。 ユイはモデルやタレントをしていたわりに恥ずかしがり屋だった。 顔を赤くして俯くと、 「かわいいー。」 とため息混じりの歓声があがった。 「ねぇ、ユイ…って呼んでいい?マナはマナでいいからさぁー。」 マナが言った。 「もちろん。仲良くしようね。」 そう言って笑うと、また歓声があがった。
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