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人だかりをすり抜けて、高城 レンが教室に入った。
「朝からスゲーな…。」
つぶやきながら席につく。
「おっ、おはよ。」
ユイが高城 レンに言った。
レンはユイを見て入り口に視線を移して、またユイを見た。
「おはよ。スゴィね。人気者じゃん。」
レンとユイの間に入ってマナが言った。
「高城くんもスゴィじゃん。」
マナが指差した入り口を見ると、いつの間にか女の子の人だかりができていた。
大きいため息をついて、
「めんどくせぇな。」
と言った。
「ほぉーら。教室戻れー。」
担任の松岡の声にブーイングしながら、生徒達がしぶしぶ自分の教室へと戻って行った。
「あ、先生だ。ユイ、後でね。」
マナが慌てて自分の席に着いた。
「たっ、高城くんも…人気者だねっ。」
ユイが言うと、高城 レンはユイの顔を見つめた。
まっすぐ見つめられてユイは心臓が激しく動くのを感じた。
「レンでいいよ。」
その言葉に心臓はドクンと高鳴る。
「う、うん。」
「俺もユイって呼んでいい?」
「ど、どぉぞ!」
勢いよく答えると、レンが笑った。
「どうも。」
笑いながらレンが言った。
ユイはこれから始まる高校生活が楽しくなる予感がした。
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