灯火

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─…三人一気はきついな。 魔王一家が近づくごとに焦りが生じ こめかみには汗が流れる。   だが動揺を悟られぬように 無表情は保ったまま。   次の瞬間ビリビリと電撃が背中に 走ったかのような錯覚に襲われる。   目の前には尋常ではない 威圧を放つ魔王の姿がそこにはあった。   まがまがしい圧力に唾を飲むも ぐっと息を詰め凜刀を片手で持ったまま こちらも相手をにらみつける。     「僕は待つのは嫌いだ。 …無駄な時間だからね。」     パシン、ともう片方の手のひらで 凜刀を受け止めては唇を結んだ。 暫しの沈黙を破ったのは 織田信長の方であった。     「…フン…丸、こやつを早ぅ倒せ」   「はい、信長様!」     なめられてるとはいえ 3人一気にかかって来ないことに 内心安堵しつつも目標の相手をみた。         舞え 踊れ 狂うがいい   壊れた西洋人形のように   時に舞台を飾るのは   朱色の彼岸花 紅色の椿・薔薇   咲き乱れて 嘆きの歓声を上げよ   愛おしく咲いた紫陽花の花弁よ      
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