聖夜の客は招かれざる者

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 彼女が言うには、自分はサンタクロースで、この地域を担当する事になったらしい。 (まあ、そう思い込むのは自由だ。例えば、自分は空を飛べる! と言うだけなら誰にも迷惑はかけない。俺は関わりたくないけど)  サンタクロースの主な仕事は幸福を運び、一年の安泰を約束する。日本でいうところの歳神と同じ役割らしい。 (随分地味だな。サンタクロース)  グリーンランドに存在し、NGOにも認められている、サンタクロース国際協会とは別に、秘密裡に活動しているらしい。 (何処のKGBだ。サンタクロース)  彼女は初仕事だと、張り切り、お馴染みのソリを飛ばしていた。  星の運河をトナカイが力強く疾駆し、眼下に広がるイルミネーションは、まるで彼女を祝福する花火のように明滅を繰り返していた。らしい。  全ては順調だった。  人々の認識を甘くし、姿をカムフラージュする装置も正常に働いていた。  煙突の無い昨今の家庭事情から必要になった、ピッキングの技術も、血の滲むような練習でスムーズに出来た。 (オイオイ、犯罪組織も真っ青だな。と言うか、カムフラージュって何だよ、光学迷彩か? ス〇ークか? ス〇ークなのか!? サンタクロース!)
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