~ 序章鬼(キ) ~

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    秋近し雅な都…     盆地特有の夏の蒸し暑さも和らぎ、秋近し平安京は、人々で賑わう。 昼には市が出て、季節折々の品物や反物が並び、男童(おのわらわ)女童(めのわらわ)の、楽しげな笑い声が行き交う。 大きな屋敷からは、雅やかな楽の音が響き渡る。  市では若い女人達が、高らかに笑い反物や、化粧道具等を見て回る。  風に舞い朱色に色付いた紅葉が、ひらり…ひらりと地に落ちる。    平安京は、東西南北を四神(しじん)たる霊獣の神々が守護する。  東の守護は、青龍(せいりゅう)・西の守護は白虎(びゃっこ)・南の守護は朱雀(すざく)・北の守護は玄武(げんぶ)と言う、龍・虎・朱鳥・亀に絡まる蛇… この霊獣の四神が、平安を守護している。 京の都に住む民は皆(みな)…四神を崇め奉っている。   だが……四神に守護されし平安京にも…夜な夜な妖(よう)が蔓延る。 漆黒と静寂に支配され、京には…列を成す妖鬼・物の怪達の…     “ 百鬼夜行 ”   が毎夜…毎夜…現れ、人々を苦しめ恐怖に震え上がらせている…。 そこに……平安京の闇を司り、悪鬼達を黄泉へ誘(いざな)う…一人の男人が現れた。        その男人の名は …        
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