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月の無い夜だった……。草木は何かを恐れるように静まりかえり、虫の声さえ聞こえない。
何時間経っただろうか、経路を逆に辿っていた俺達の前に、それは静かに降り立った。
妖艶に微笑んだ女が、真っ直ぐに俺達を眺める。
「あら、珍しいわね。同じナイトメアじゃないようだけど、同胞に会うなんて久しぶりだわ」
クスクスと笑う女ナイトメアを、俺は冷ややかに見据えた。
「悪いが、同胞と呼ばれる筋合いはない」
「あら、それじゃあなた達は――最高級の獲物ね」
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