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噛み付いているコウモリから逃れようと、ナイトメアは身をくねらせ、抵抗を試みる。
しかし従順なコウモリ達は、一向にナイトメアを放そうとしない。
不意にナイトメアの背後に、キルリオが現れ、後ろから拘束する。
「素敵な悪夢を、ありがとうございました」
ユロウの前では決して出さない、冷たい口調でキルリオがささやく。
不意に恐怖を覚えたナイトメアが、キルリオの腕の中で震えた。
言葉を発しようにも、口が塞がれ、声が出ない。
それでもキルリオは、冷淡な声で告げる。
「あなたが、ナイトメアの流儀で来たのだから、俺もヴァンパイアの流儀で返そう……」
2本の鋭い牙が、ナイトメアの首筋に、静かに突き刺さる。
一瞬――ナイトメアが悲鳴を上げたが、塞がれた口の中に消えた。
灰と化したナイトメアを見詰め、キルリオは静かにため息をついた。
「ユロウには、決して見せたくはないな……」
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