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「キルリオ。起きてよ、キルリオ!」
ユロウに起こされ、俺は目を覚ました。
いつの間にか、昔の夢を見ていたらしい。
「大丈夫か? キルリオ。なんか、うなされてたけど……」
ユロウが心配そうに俺を見詰めている。その顔は、彼がまだ『ユロウン』だった時と変わらない。俺が彼を――ヴァンパイアにしてしまう前と……。
ユロウは後悔しているのだろうか?
俺を恨んでいるのだろうか?
何度も彼に訊きたいと思った。その度に俺は、その言葉を呑み込んでしまう。
「……なんでもない」
――俺は臆病者だ。
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