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事の発端なんて物は、まずなかっただろう。
彼女がいつも感じてた違和感。それは自分が周りの人と、決定的に何かが違うのだと言う事。
何かが、決定的に足りないのだと言う事。
この世界は悪意で満ちている。
傷付けて、傷付けられて、そんな事を平気で毎日繰り返す所。
それでもまだ足りないのか、家族にすら手に掛けて。
そう、この世界では当たり前の〔悪意〕を、彼女は持ち合わせていなかった。
或いは、母親の腹の中にでも忘れてきたのか。
いずれにせよ、彼女がこの世界からの仕打ちを、耐える事は不可能だったのだ。
19歳、春先
心に深い傷跡を残し、
彼女は自ら生涯に幕を引く。
さようなら、ありがとう
彼女に、一欠片でも順応性があれば。
或いはこの世界が、もう少し彼女に優しければ…
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