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「手術の痕は残るけどガンが発祥しないまま腫瘍を取れば、真弘はもうここに入院しなくてよかった。死の不安に怯えることはなかったと思う。」
「お前・・・。」
「私は死ぬことはどうでもいいけど、真弘には真弘を必要としてる人がここに居る。将吾が・・・。」
「・・・だから?」
「でも、私は両親以外にはいない。両親もどうかわからないけど・・・。」
「何いってるんだよ。まだ会って日が浅いけど、君が死んでしまったら、少しはオレの生活が変わると思う。」
「そうだな。」
「・・・。」
その言葉は嘘だ。と思う半面、嬉しいとも思う。私はまだひねくれていて、その嬉しいことを言葉では表せない。無表情のまま、黙っていた。
複雑な気持ちになった。それに気がついたのか、少し表情が変わった。真面目っぽく・・・。
「嫌だった?」
「別になんとも思ってない。今日はもう帰る。」
「じゃあ、俺も帰る。じゃあな、真弘。」
「あぁ。じゃあな。」
将吾は先に真弘の病室を出た悠香を追った。
「ついてこないで。」
「出口こっちだからしょうがないよ。」
「・・・。」
「・・・さっき死にたがってる私を生かしておくのは何か間違ってると思うっていったろ?」
「うん。」
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