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こいつの影響が強いのか、私もいつの間にか、和みはじめていた。たぶん、こいつは、その雰囲気を感じ取っているのだろう。
そして、日も傾いてきたころ公園のベンチに座って、普通の話をしながら休憩をしていた。こいつはすごく楽しそうだった。
「ねぇ、私の気持ちってわかりやすいのか?」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「初めて会った人に何かあった?何て聞かれて、驚いたのもあるけど。何か不思議な感覚があった。始めからわかってたっていうか。」
「実は君に初めて会う前に君を見掛けたんだ。いつだったのかなぁ。覚えてないけど。・・・確か、君が公園で一人で歌ってたとき。」
「・・・。」
その時って確か、声帯に腫瘍ができたときのこと・・・。
「あの時の君の歌から何か悲痛な叫びみたいなのが伝わってきた気がしたんだ。」
「・・・。」
あの時は確かにすごく嫌な気持ちだった。声を失ってしまうのが本当に嫌だったから。それが、歌に現れていたのか。
そんなことを考えていると・・・。
「ねぇ、そろそろ話してくれない?」
いきなりこいつはそういった。何のことかわからないという顔をしている私を見てこう続けた。
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