四月十二日

3/5
177人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
「なぁ、そのネックレス・・・誰のこと考えてるんだ?」 「え・・・。」 「葉月の・・・ことか?」 「・・・。」 「それとも悠香のことか?」 「今は・・・悠香のこと・・・。」 「アイツのことか・・・。」 今日まで、アイツのことを考えてた。この感覚をオレは知っている。 痛くて、切ないこともあるけどとても幸せで、温かいこの気持ち・・・。 オレはアイツのことを好きなんだと。 「そうか・・・。」 死ぬ前に、二度目の恋をすることになるなんて思わなかった。 真弘が悠香のことを好きになった。いいことじゃないか。 でも、俺はどうしても心から喜べない。何かが引っ掛かる。なんだろう。 そんなことで、俺達の会話は途切れ、真弘はネックレスをいろいろと見ていた。 そのあと、色んなところを覗いた後、日も傾いてきて、病院に戻ることにした。 真弘を病院に送った後ちょうど病院を出る悠香を見掛けた。 ちょうど病院を出ようとしたとき、声をかけられた。驚いた。 いつの間に病院にきたんだろう。 「今日、病院に来たんだ。」 「うん。だけど、今日は真弘がいなくてさ。帰ろうとしたら、担当医に会うし。で、やっと帰れると思ったら会うし。」 「なんだよ。」 「真弘がいないから、将吾も来ないだろうと思ってさ。」
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!