四月十二日

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「あぁ。そういうことか。」 「うん。」 「なあ、少し時間あるか?」 「あまりないけど少しなら・・・。」 「近くの公園でちょっと話がしたい。」 「いいよ。」 そして私たちは公園に移動した。 公園につくと、ベンチに座って、話はじめた。 「じつは今日は、俺、真弘と一緒に出掛けてたんだ。朝から。」 「朝から?学校は?」 「今日は休み。毎年、今日だけは・・・。」 「今日は何かあるの?」 「俺達の友達の命日なんだ。」 「あ・・・。悪いこと聞いた?」 「別にいいよ。それに、そいつも、お前と真弘と同じ病院だったんだ。」 「え・・・。」 「そいつは、発見されたときすでにガンになっていて、手術を何度も繰り返して寿命をのばしていた。」 「・・・それで・・・。」 「でも、結局は手遅れでそいつは死んじまったんだ。」 「・・・。」 「あいつは俺の幼なじみだった。真弘にとっては・・・。すごく仲がよかった。」 「とても・・・。」 「?」 「その人がいなくなってしまったとき、将吾は・・・。」 「もしかして、何て言ったらいいかわからない?」 「うん。・・・痛いとかじゃなくて・・・。」 「悲しいとか辛いっていうんだよ。そういう感情を。」 「そうか。やっぱり悲しかったんだよね?」 「うん。すごくね。」 「真弘もそう思ってたんだろうね。」
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