何も変わることのない日常から・・・

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病院を出ようとしたときいきなり呼吸が苦しくなった。腫瘍が気管を圧迫しているんだ。苦しくてそこらの壁にもたれかかった。 そのまま苦しんでいると男の人の声が後ろから聞こえた。 「おい、大丈夫か!」 私は苦しくて声がでなかった。 「今、先生のところに運んでやる。」 と、言って私を抱えさっきの診察室に運ばれた。男の人はその後、私の呼吸が落ち着くまで私のそばにいた。 数分して呼吸が楽になり医師にもう安心ですと言われた。ですが、念のためにもう少し待合室にいてくださいと言われ待合室に移動した。男の人もついてきた。 「さっきはありがとうございました。」 「別にいいよ。」 「さっきはどうしてあの診察室に運んだんですか?」 「だって、お前も気管の辺りに腫瘍があるんだろ?」 「どうしてそれを・・・。」 「あの診察室から出てくるのを見てたから。」 「そうですか。・・・さっきお前もっていいましたよね?」 「あぁ。」 「ということは・・・。」 「オレも腫瘍があるんだよ。ついでに担当医も同じみたいだ。」 「あの医師ですか?」 「あぁ。名前聞いていい?」 「いいですけど。」 「オレは、木内真弘。高二。」 「私は、石田悠香です。高一です。」 「え!?オレと同い年か年上かと思った」
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