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そしてまた、あの男の人に会った。
あの服装・・・入院したんだ。
「よっ、また会ったな。」
「私は会いたくなかったです。」
「・・・。」
「・・・入院したんですか?」
「あぁ、ガンが再発したらしい。」
「そうですか。」
「お前、手術は早いうちにしたほうがいいぞ。オレみたいになっちまう。」
「それでも構いません。声を失うなんて嫌ですから。」
「命より、声を選ぶのか?」
「そうです。」
「お前、もっと自分の命を大切にしろよ!」
「私は自分の命なんてどうでもいいのよ!」
「お前!」
「真弘。ここじゃあ迷惑がかかる。場所を変えよう。」
いつのまに私の後ろに立ったのか。私はその男の人に気がつかなかった。
「将吾・・・。」
「私は、帰ります。」
「だめだ。さっきの言葉には俺も言いたいことがある。」
男の人に無理矢理手首を掴まれそのまま私達は病院の庭に移動した。
移動し終わっても私の手首を放してはくれなかった。
「で、どうして、こんなことになってるんだ?」
「前に会ったときに手術をしないっていってたのを気になって、話し掛けた。手術をしないとガンになって。」
「だからいいのよ!私の事は放っておいて!」
私がその場を去ろうとするが強く手首を掴まれていたため引き戻された。
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