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「わかったでしょう?挨拶は三文の徳!挨拶をしたら、こうやっていいことが必ずあるの!」
兄貴にぴしっ、と指を指して私はふふんと挨拶とはなんたるかを説く。
「ケッ!プリンばっか食ってるとな、お腹がプリンプリンになるぞ!!」
「なんだとバカ兄貴!!」
「おっ?やんのかぁ!?」
パジャマの裾をまくって兄貴の顔を殴ってやろうと思ったら、首筋に冷たい感覚。
ゆっくり左を向くと、
お母さんが包丁を両手に持って黙って立っていた。
「「ご………ごめんなさい…………」」
「よろしい」
またお母さんは静かにキッチンへと戻っていく。
すっかりさっきまでの怒りはなくなっちゃって、私と兄貴はソファーに腰かける。
「はっはっは。万次、あんまり千鶴とケンカしちゃ駄目だぞ?千鶴だってもう女の子なんだから、言っていいことと言ってはいけないことがある。」
お父さんが笑いながら兄貴に言う。
「そうだぞ兄貴!だから女の子にモテないんだ!」
「うるせぇな……モテないのは関係ねぇだろ。」
ぷいっと兄貴があっちを向いた。かなり気にしているらしい。
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