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教室前の廊下。
青空が広がる窓を見ながら私は鼻歌を歌う。
「なぁに、千鶴。今日はご機嫌じゃない。」
そう言ってきたのは私の親友のメアリー。
「えへへ、今日ね、おじいちゃんに挨拶したらプリンくれたの!しかも私の大好きなクリームたっぷりプリン!」
「へぇ。よかったじゃない。」
「でしょ?だからー、メアリーもみんなに挨拶しようよ!ね?」
ぎゅっとメアリーの手を握って、挨拶の素晴らしさを説こうとするけど、握った手を振り払われる。
「本当にアンタはあいさつ教の教祖ね………いいわよ、私は。めんどくさい。」
なっ……!と声を詰まらせて私は反論する。
「めんどくさくなんてないよっ!挨拶ってのはただ、一言、『おはよう』って言えばいいだけなんだよ?あっ、もちろん、心を込めてね。」
ふーん、と、興味がなさそうに答えて、メアリーは空を見る。
むぅっとして、メアリーの隣で同じように空を見ているさつきちゃんの手を握る。
「さつきちゃん!!」
「ふぇ、ふぁいっ!?」
突然のことに目をパチクリさせるさつきちゃん。
「さつきちゃんは、あいさつ教、入ってくれるよね?」
「え………あ………うん………」
「さつき、たまには断る勇気も大事よ?」
横からメアリーがなんか言うけど気にしないっ!
「決まりね!さつきちゃん!私とさつきちゃんで、挨拶の素晴らしさ、みんなに広めよう!!」
「あ………う………うん………」
こうして、私は、あいさつ教の教祖として挨拶の布教活動を始めることにしたのであったーっ。続く!
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