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「‥フロゥ‥ちょっと‥火が強い」
「え?‥ち!ちょっと待って!」
……薄暗くなった辺りの水辺に空腹を刺激するいい香りが流れている。どうやら近くに流れている川はこれから行く所々にしっかりとあるらしい。
不思議な光景だ……そこにいるのは3人。足首は川に入れ、Tシャツを汗だくにして秋月から言われた訓練をする佐野、右手を前に出し、左手は右手首を握り‥右手の前に出している炎の球体に全力を注いでいる。そのバスケットボール程度の球体は時間をかけてゆっくりと、とてもゆっくりとだが縮んでいた‥
……その川の砂利場で、簡易式の鍋置きに置いた鍋の底を両手で触るフロー。その両手からは炎があふれ出ていた‥
篠宮は鍋を焦がさないように注意深く見守り、掻き混ぜている……フローが言った。
「ハァ~‥こ‥ハァ~、このぐらいで‥いい?」
鍋の底に当てる両手から溢れる炎が見た目でも判るように弱くなった。沸騰する鍋の中を掻き混ぜながら確認する篠宮‥暫くして話す。
「‥いいよ。このぐらい‥てか……大丈夫?汗‥凄いよ」
「は‥ハァ‥話し掛けないで‥これ……ハァ~‥とってもキツいの‥」
「あ、ゴメン」
実は数分前、車から降りた一向の内の1人が指揮を取った事から始まった‥
「‥クァ――――ッ!!!‥フゥ~‥よく寝た」
「‥で?‥これからどーするのよ?川辺でなにするの?」
「やっと‥到着しました‥クゥッ!」
「ここが今日の宿泊地か‥」
「そんじゃ~、キャンプファイアでもやる?」
「やる!やりたいわ!」
「あ~、うるせうるせ~‥ハイ注目、班作るえ。飯作る班と安全確保の為にここら辺の魔物討伐の班‥希望はあっけ?」
「んじゃ私は料理!」
「それじゃ、俺は討伐に行こう」
「んじゃ~、俺は料理側で」
「私は討伐に行きたいわ!」
「ハァ~‥わたくしは料理班で」
「シノ以外みなチェンジ!!!」
「「「え――――ッ!」」」
「なぜだ」
「飯ぐれぇ命賭けないで食いたいわ!‥セレが料理できる女だ~思うか?‥」
「快く了承しよう」
「佐野ちゃん!!?」
「トーヤ!!?」
「さ~て、鍋はっと‥セレーネ‥戻すなら草影でお願いね?」
「ハァ、ハァ‥了解‥です‥」
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