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人権擁護を唄う慈善団体も
政治汚職に憤り熱弁する評論家も
環境保護を理由に募金のボランティア活動にいそしむ少女達も
壇上で博愛を歌う芸能人も
公園で泥まみれの子供でさえ
奴隷を見ると嫌悪した。
僕はそれを見ると嫌悪した。
その話を人にすると笑われた。
真面目な顔でなぜ笑うのか尋ねたら少し引かれた。
僕には理解できなかったが
『普通』でないのは僕の方らしかった。
自分の考えが人と違う事は自覚していたので
その中の一つだろうと勝手に自分を誤魔化した。
納得はできなかったが。
そして
なるべく付いていけない話題には口を出さないようにした。
異質は集団からつまはじきにされる事を知っていたからだ。
己を偽る事へのストレスには慣れていた。
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