【活動報告2】

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街頭演説に立った。 もちろん 許可なんて取っちゃいない 駅前ゲリラライブだ。 やわらかい日差しに賑わう休日の ロータリー前を流れる人込みは 僕を避けるようにうねりながら通り過ぎていった。 これだけ人がいれば一人くらい僕の考えに共感してくれてもいいような気がしたが 僕は一切受け入れられなかった。 だがそれでも十分だ。 僕を避けて通ると言う事は 僕の存在を認識している証拠。 足を止めて聞かなくても 僕が語る内容が 奴隷と言う暗黙の禁忌について なのだと認識している証拠。 今はそれで十分だった。 そう思えるようになっていた。 もう なりふり構う必要なんて無い。 気にするような体裁は もうないのだから。 この境地に立てたのが 自らの意志でなく 必要に迫られて だったのがなんともなさけなかった。 何より彼女に申し訳なくて… 何もしゃべらない彼女にどれだけ謝罪の言葉を並べても 中身の無いただの言い訳にしか聞こえない気がして 僕には何も言えなかった。 何も言わず 行動で示そうと思った。 だから臆病な僕にもこんなに大胆な作戦が立てられた。
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