85人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
高校生になり
幼い頃の暗い人格を
記憶と共に封印したかのように
僕はリーダーシップと言うやつを発揮していた。
中学の潜伏期間を
地味でなく派手でもなく
『普通』に撤した僕は
すんなりとイメージを払拭する事に成功した。
あまり知り合いのいない所を選んだのも良かったのだろう。
自分で言うのもナンだが
高校ではクラスの中心人物と言えるのではないか?
音痴は治らなかったので
最初の友達付き合いの洗礼に
『とりあえずカラオケ』
が来たのには難儀したが
あの頃の僕からは想像も出来ない程
僕は変わっていた。
いや
あの頃の僕の事を記憶に残している人はいないので
今の僕からあの頃は想像もつかない
が正しいか。
そして、理想の自分に変化した僕のモデルは子供の頃に植え付けられた憧れの彼女に似ているような気もしていた。
無意識にも目標にしていたのだろう。
有頂天になり我を見失う事は無かったが
それでも初めて味わう
チヤホヤされている感は
結構気分が良かった。
最初のコメントを投稿しよう!