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「下がってよろしかったのですか?」
部屋にて、私は姫に尋ねた。
「父上の言ったことも理解したわ。あの状態じゃ何言っても聴いてもらえないだろうし。」
賢明な判断である。
「でも、やっぱり国民の意見は聞かないとね!」
姫は街に下りることが決定したように話す。
まだ許可がおりてないのに。
「どうされるのですか?」
私は尋ねる。
「明日、昼の忙しい時間帯に城から抜け出すの。昔もやったことあるから大丈夫よね!父上には内緒よ?」
姫はそう言って支度を始めた。
「変に正装しても仕方ないからね。この服着て行こ!」
「姫?」
「な~に?ヤタ。」
「まず断っておきます。私の任は『姫をお護りすること』です。」
「…?それってヤタが私を力付くで止めるってこと?」
「違いますよ…。」
たしかにそれも考えた。
しかし、私にそんな任はない。
私の任は“姫を護ること”。
“姫を止めること”ではないのだ。
それに、姫は私に話してくれた。
誰にも内緒にしてることを話してくれたのだ。
私の勝手な解釈かもしれないが、私なら協力してくれる、と信頼して下さったのだろう。
それなら最善を尽くすだけだ。
「私が一番安全に街まで連れていきますよ。」
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