それぞれの愛国心

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しばらく歩くと、姫はある店の前で止まった。 どうやら果物屋みたい。 「これはこれは姫様、いつもお世話になっております。」 「お久しぶりです!」 姫はお辞儀をする。 「姫様、今日は何か買っていきますか?」 どうやら姫はこの店の常連さんのようだ。 「ごめんなさい!今日はお財布を持ってきてないの。」 「それは残念ですね。まぁいつもお世話になってますのでこれでも貰って下さい。」 そう言って果物屋の主人は姫にいちごを渡した。 「え!いいんですか?」 「はい、よく姫様がおいしいおいしいと言って下さったのでうちのいちごが街でも有名になりましてね、それの感謝です。」 「ありがとうございます!」 姫はとてもうれしそうだ。 「今日はどうして下りてこられたのですか?」 姫は言葉を詰まらせる。 「…うん、なんか戦争が始まりそうな雰囲気だから、街の皆さんが心配で…。」 「やはりそうでしたか。街のものは大丈夫ですよ。姫様がこうやって街に下りてきて私達の意見を王に伝えてくれる。それでも無理なら国民は王の指示に従いますよ。」 「でも、戦争が始まれば畑が荒れ、この国が苦しくなるのは確かなんだよ?」 「それでも王に反乱を起こす気もわきません。私達は王を慕い、この国が大好きなんです。」 そう言って主人は姫に笑顔を見せた。 「…姫、そろそろ戻らないと。」 もう日が落ちかかっていた。 「あっ、うん、それじゃあ失礼します。」 そう言って姫と私は街をあとにした。
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