王の決意、姫の決意

2/4
前へ
/102ページ
次へ
その夜、 王には姫が抜け出したのは見透かされていた。 「ごめんなさい。でもどうしても聞きたくて…。」 姫は王に謝る。 「私も君の父だ。それはわかっているさ。しかし、これはマルラ国との問題で今、国民に意見を聞いてどうにかなる問題じゃないんだよ。」 「・・・・。」 姫は黙り込む。 「それで?」 「はい?」 「それで国民からはどういう意見がでていた?」 王はそう言いながらも国民の声を取り入れようとしていた。 さすがは一国の王、国は国民が第一ということを熟知しているのだろう。 「はい、大半は畑が荒れるなどの戦争反対意見でした。しかし、貿易用の年貢が重いとの意見もありました。」 「そうか…。」 王はそれを聞いて少し考えているようだった。 「わかった。それを踏まえてマルラ国に会談を申し込んでみようと思う。」 王はそう決断した。 「それとシナノ、今の国の状勢はあまりいいものではない。しばらく街に行くのは控えてくれ。」 「はい。」 「では、少し会談の方向性を決めよう。私の部屋に来なさい。ヤタ君は少し下がっていてくれ。」 そう言って、王と姫は席を立った。    
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加