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その夜、
王には姫が抜け出したのは見透かされていた。
「ごめんなさい。でもどうしても聞きたくて…。」
姫は王に謝る。
「私も君の父だ。それはわかっているさ。しかし、これはマルラ国との問題で今、国民に意見を聞いてどうにかなる問題じゃないんだよ。」
「・・・・。」
姫は黙り込む。
「それで?」
「はい?」
「それで国民からはどういう意見がでていた?」
王はそう言いながらも国民の声を取り入れようとしていた。
さすがは一国の王、国は国民が第一ということを熟知しているのだろう。
「はい、大半は畑が荒れるなどの戦争反対意見でした。しかし、貿易用の年貢が重いとの意見もありました。」
「そうか…。」
王はそれを聞いて少し考えているようだった。
「わかった。それを踏まえてマルラ国に会談を申し込んでみようと思う。」
王はそう決断した。
「それとシナノ、今の国の状勢はあまりいいものではない。しばらく街に行くのは控えてくれ。」
「はい。」
「では、少し会談の方向性を決めよう。私の部屋に来なさい。ヤタ君は少し下がっていてくれ。」
そう言って、王と姫は席を立った。
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