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部屋に残されたのは私と幾人かの兵、それと王妃だ。
王妃は国政に対して口だしをできる身分ではない。
しかし、王の補助などでこの国に欠かせない存在と言われている。
「ヤタさん?」
私はその王妃に声を掛けられた。
「何でしょう。」
「今日はシナノが迷惑かけました。」
そう言い私に軽く頭を下げる。
「いえ、私の任は姫を護ること。任をこなしただけです。」
これはおそらく軽い挨拶。
王妃とはあまり会話したことがない。
本題はこれからだ。
「今度、王がマルラ国との会談をすると言っていましたよね?」
「はい…。」
「おそらく、シナノも一緒に参加するでしょう。なので…」
王妃は話を続ける。
「最大級の警備がひかれ、ヤタさんにはシナノの隣にいてもらうことになると思います。」
「そのつもりですが…。」
「しかし、マルラ国は鳥族のみなさんを酷く嫌っています。ヤタさんにもマルラ国の王は酷いことを言ってくると思うので…」
「わかりました。私のせいで国の間に摩擦が生じないように気をつけて行動をとらせていただきます。ご安心を。」
「ありがとうございます。あと娘をよろしく頼みます。」
王妃はそう伝え、部屋に戻って行った。
私は王妃がこの国に欠かせない存在であることがわかった気がした。
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