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「絶対、お父様は間違ってる!」
シナノ姫はご立腹だ。
姫についてはや二ヶ月、姫はよく私に愚痴をこぼす。
「戦争なんてしても、失うもののほうが多いわ。マルラ国が不利な貿易を突き付けてくるのはわかるけど。」
今日、シナノ姫が怒っている理由は父である王にたいしてだ。
王はマルラ国との貿易があまりにも差がありすぎるのを嫌がり、今後について、軍事措置を視野に入れると申していた。
「私達の国の食糧自給率は高いし、少しくらい多くとられたって大丈夫じゃない!」
おそらく、私に同意を求めてるのだろう。
「姫が言いたいこともわかります。ですが、マルラ国が貿易で利益を上げれば上げるほどあの国は軍事を拡大していくでしょう。武器は戦うことにしか使えないのです。姫、王の言うこともわかってあげて下さい。」
「うん・・・」
不満そうな顔をする。
「でも納得はできないわ!反対することならしてもいいんでしょ?」
「………いいとは思いますが…。」
「…が?」
「すみません、気にしないで下さい。」
守護者が自分の意見を押し付けてはならない。
「何!?気になるわね。教えて?若い私にはまだまわりの力が必要なの。」
「では、これはあなたの守護者として言うのではなく、友達としての助言として受け取って下さい。」
“友達”
一国の姫にこの発言は失礼なのはわかっていたがこの表現を使うのが適切だと思った。
「友達?わかった。それで?」
「姫・・・、前だけ見すぎてまわりを見失わないように気をつけて下さい。気付いたころにはまわりには誰もいないかもしれません。」
「・・・う~ん、前だけ見すぎてまわりを見失わない、か・・・。どういうこと?」
「…それは、自分で気付くものですよ。」
私は無理矢理笑顔をつくり、姫に見せた。
「ヤタ、ときどき難しいこというからわかんないよ・・・。」
姫は口を尖らせる。
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