35人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
インセクティアの首都ブルーフォレスト。
ある小さな楽器屋にある書斎で、一人の青年が机に向かっていた。
「………ふぅ」
息をつき机にペンを転がすと、紙を取り上げて流し見る。
「…知ってる事、本当に少ないな…」
彼はポツリと呟くと、紙を置き伸びをした。
ふと目覚まし時計を見れば既に日付が変わっている。
「もう寝よ……ふわぁ…」
ふらふらと立ち上がり、ベッドへと向かう。
電気が消された部屋に闇が満ちて行く中、月の光が木製の写真立てを照らし出した。
3人写っているその写真の端には
"とこなつととこふゆとぼく"
と、子供の字で書かれている。
そしてその写真立てには、手彫りで
Spica、と刻まれていた。
最初のコメントを投稿しよう!