始まり―――

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「おはよう姫羅 早いな」  リビングに入ると、朝食を用意し終えた姫羅がキッチンからお茶を持ってきたところだった。 「おはよ いいわね春誇はゆっくり出来て 私は学校遠くなっちゃったからなぁ~…」  『フィールドゲーム』終了から約1ヶ月半が過ぎた―――  姫羅のご両親は予定通り10月に入ると同時に京都に転勤して、先週末から姫羅と俺の生活が再スタートした。  エアリエルさんと炎はゲーム終了後に悠李と愁から解放され、今は二人で久々のこっちの世界と自由を満喫している。  たしかこないだはハワイに行ってきたって言ってたな…  紫都留さんは周りの人々の記憶が戻ったんで、自宅で家族と平和に暮らしている。 ゴーレムも一緒だ  俺はまだ行った事がない(というか姫羅と紫都留さんに行かない方がいいって止められてる)けど、姫羅は何度か彼女の家に遊びに行ってるらしい  そして、今日が姫羅のこっちに来て初の登校日  姫羅は『毎朝のお風呂は絶対欠かせないのよ』の言葉通り、通学時間が今までの三倍になったというのに朝風呂を楽しんだようだ  その分かなり早起きしてるようだけど… 「そう言えば… 姫羅、お前ってどこの高校に通ってるんだっけ?」  姫羅と出会ってもう何ヶ月も経っているけど、よく考えれば俺は彼女の学校のことは家からかなり遠いということしか知らない 「ん? 言ってなかったっけ?」  そんなことを言いながら、姫羅は着ていたエプロンを脱いで制服の胸のところに入った校章を指し示す。 ―えっっ!?  エプロンを着ていたんでよく分からなかったけど、この制服や薔薇の校章には見覚えがある…… 「姫、姫羅さん… あの~、君もしかして『センティフォリア学院高等部』の生徒だったりします?」 「うん そう」  頷きながらジャムがたっぷり塗られた焼き立てのパンを一口かじる。 「う、う、嘘だーーーーっっ!」
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