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『え?』
急に響いたガラスの割れる音に皆が振り返る
「はれ?
落ちちゃった」
そこには頬を朱に染めた姫羅
足下には割れた空のグラス
「き、姫羅さん?」
「なんか…様子変じゃない?」
ぽーーっとした顔で割れたグラスを見つめる姫羅は明らかにいつもと様子が違う
「あ! まさかお前これ飲んだんじゃ…」
テーブルにある空になったアルコール類の缶
パッと見ジュースにしか見えないそれは謙一さんが用意したまま飲まないで置いていた酒だ
「ふにゃ?
そのじゅーすおいしかったよ?」
やっぱり!
「バカ! これは酒だ!!」
「姫羅さんほらお水飲んで下さい」
状況をすぐに察した紫都留さんがよく冷えた水をグラスに注いで姫羅に渡す
「う?」
パリン!
「んな!?」
姫羅がグラスを握った途端、グラスは彼女の握力で砕けてしまう
当然、回りは彼女の恐ろしい握力に震え、凍り付く
「ん~ 冷たいよ~紫都留~…」
「きき、姫羅さん!?」
ととと…と紫都留さんに近づいてギュッと抱きつく姫羅
「きゃっ!
く、苦しいです姫羅さん…!!」
よっぽどきつく抱きついているのか、紫都留さんは顔を歪めて姫羅を引き離そうとするけど、彼女はビクともしない
「姫羅、紫都留ちゃん苦しがってるよ…?」
勇気ある音がゆっくりと近づいて、姫羅に離れるよう促す
と、
「音~!」
「うぎゃっ!
ギ、ブギブ!死ぬっ!!
姫 羅、放し、て…!!!!」
チラリと音を見て、方向転換して姫羅は彼女に抱きつく
「きゃあ!
音ちゃんを放すです!
このバカ力~!!」
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