紫都留の日常―――

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 まずいですね…  泉さん完全に怒っちゃってます… 「よっっ…く分かった お前はこの格好見る度にそんな風に思っていたんだな?」  静かで落ち着いたクリスタルボイス…だからこそ恐ろしく、彼女の怒りが伝わって来ます… 「い、いや… 違うんだ泉 頼むから落ち着いてくれ…」 「落ち着いているさ、私は」  ますます青ざめて行く兄が少し気の毒ですが、自分でまいた種ですし…それに私が口を出すようなことじゃありませんよね? 『ナんダ? また修羅場カ?』 「あ、ゴーレム お帰りなさい」  開いたままだったドアの隙間から、ゲームの後、一緒に私の家に来ていたゴーレムがひょこっと顔を出します。 『イイのか止メなくテ?』 「…いいの 今回はお兄ちゃんが悪いんだから」  ゴーレムと話ながらチラリと二人を見てみると、『あの』兄が土下座でもしそうな勢いで泉さんを宥めています。 「そうだ泉 買い物に行きたいと言っていただろう? 今日は仕事も休んで一緒に買い物に行かないか? な? な!? 」 「けっこうだ」 『はぁ… こコモ賑やカダな…』  ため息を漏らすゴーレム  その彼(?)を私は手に乗せて 「でも… やっぱりこっちの方が楽しいよね?」 にっこり笑うと、彼はしばらく間をおいてからそっと頷きます。 『ソウ… かモな…』 「泉~~!」 「ハッ」  兄の情けない声は、その後もしばらく続きました―――
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