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カチカチカチカチ…ジリリリリ!!
騒ぎ始めた目覚まし時計を達幸は素早く黙らせる。
昨夜の事が頭をよぎる。ただの夢であってほしい…そう願うばかりだ。
「さて、起きよ」
そう言って達幸は寝間着を脱ぐと制服に着替え1階に降りていった。
リビングには誰もいない…。ふとテーブルに目をやると小さな紙切れと共に千円札が置いてある。
《今日の夕食代置いとくね、朝はパンとかあるからしっかり食べていってね。 母より》メモにはそう書いてあった。
達幸はパンを食べ家を出た。歩きながら達幸は実の事ばかり考えている。
しばらくして学校に着いた。下駄箱で上履きをはき教室へ。教室には…。
いた! 北川さんだ。いつ見ても可愛い。
だが今はそれどころではない。実を探して目線を散らす達幸だが、その視線が実を捉えることはなかった。
しばらくして先生が入ってきた。それに気付き、立っていた生徒が席に着く。達幸は落ち着きがなくソワソワしている。
次の先生の言葉を聞いた瞬間生徒たちから笑顔が消え達幸に恐ろしいほどの戦慄が走る。
「今朝、うちのクラスの高橋実君が右折してきた軽自動車に跳ねられ意識不明の重体です…」
先生も涙を隠し切れない様子だった。
右折?
軽自動車?
意識不明?
何から何まで同じじゃないか! あの夢と。
まてよ?
あの夢が正夢なら、未来を変える事だってできるのではないか?
まだ確証はない。今回の実の事故は偶然かもしれない。
その日の授業は全然耳にはいらないまま最後の授業の終わりのチャイムが聞こえた。
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