151人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の放課後。肩を落とし、ぐったりしながら歩いている達幸がいた。
ふと携帯が鳴る。発信者に“実”の文字。達幸はすぐ電話に出た。
「も、もしもし?」
「おう…。工藤か!」
元気そうな声が聞こえてくる。その瞬間達幸からあの恐ろしいほどの戦慄が消えたような気がした。
「お前…意識不明じゃなかったのか!?」
「学校ではそんな風に伝わってるのか。だけどそんな事はないぜ。ただの軽傷だよ! だけどしばらく入院するから英語のノートまだ借りとくわ」
よかった。実が無事なのはなによりだ。しかし、あの夢は?
実は死ななかったが車に跳ねられたのは事実だ。俺には未来が見えるのか?
「じゃあそろそろ治療始まるから切るよ」
「あぁゆっくり休めよ」
そう言って電話を切った。
未来視。信じた事は無いが、実際に見えて現実に起こったんだ。
これは偶然ではない。達幸は考えをまとめるため近くのベンチに腰を下ろす。
未来は変えられる。なら、変えてみせる。
実は偶然死ななかったが、誰かが事故や事件に巻き込まれる未来が見えるかもしれない。
それはまたやってきた…。
………!? この感覚はあの時の!
近くの通りを制服姿で歩いている小柄な女の子が見える。
近くに時計がある。時刻は…あと30分後!!!
その子がこっちを振り向いた…。その顔を達幸は一日として忘れた事はない。
北川さん!!
最初のコメントを投稿しよう!