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北川さんはその後、こちらを振り向く事なく階段を降り行ってしまった。
俺には何も出来なかった。
愛する人を前にしてろくに口も利けなかった。その後、達幸は北川さんに見つからないように後をつけた。
達幸にはこんな方法しか見つからなかったみたいだ。途中、問題の路地裏にさしかかった。
だがなんということだろう。その路地裏にたくさんの人がいて、中には警察官の姿も見える。
北川さんは野次馬のなかに友達を見つけたらしく、すぐに駆け寄る。
「みっちゃん! どうしたの? 何かあったの?」
「あ、なっちゃん! なんか通り魔があったらしいよ」
「え!? ほんとに?」
………!! その言葉に近くで聞いていた達幸が愕然とする。
やはりほんとだったんだ。でもなぜ北川さんは助かったんだ? 自問自答する。
そうか。俺が北川さんと話していたから未来が変わったんだ! もし、教室に行かなかったら今頃北川さんは……。
だが、北川さんの代わりに死ぬ運命になかった人が殺されてしまった。
その後北川さんは友達と別れ何事もなく帰宅した。達幸はそれを遠くから確認すると向きを変え、自宅へ歩を進めた。
これで北川さんは助かった。よな?
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