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 昨日の夕暮れ、俺の家の隣の売地となっている空き地で、殺人事件が起きた。  女子高生が、悲惨な死体となって発見されたのだ。バラバラ死体、とでも言うのだろうか。しかしそれはバラバラではなく、僅かに人の形の輪郭を保ちながら、全身穴だらけの状態で、角材によって地面に止められていた。  俺は、その一部始終を見ていた。  その日は学校から帰宅した後、二階の自室で買ったばかりのゲームをしていた。このゲームが中々難しく、攻略に行き詰まった俺は、部屋の窓を開けて、親に隠れて吸っている煙草に火を点けた。  すると、俺の部屋の直ぐ下で、陰惨な光景を目にした。男が女子高生に馬乗りになり、その顔に何度も角材を突き刺していたのだ。  俺は瞬時に恐怖を感じ、窓から顔を引っ込めたが、非日常的なその光景を信じられなかったのか、それとも単なる好奇心なのかは今考えても分からないが、とにかく再び、恐る恐る窓からその光景を覗いた。  すでに少女の顔には丸い穴が開いていた。  男は、もう意識の無い少女の痙攣を見つめながら、しばらく馬乗りのまま呆然としている様だったが、ゆっくり立ち上がると少女の制服を脱がし始めた。  その一連の動作の中で、今まで後頭部しか見えなかった男の顔がちらりと見えた。  それは登下校の時に、度々すれ違っていた、近所に住む大学生らしい男だった。  その男は少女の服を脱がし終わると、今度は露になった少女の秘部に目掛けて、角材を突き立てた。男の口からは、小さな声が何度も漏れている様で、俺にはそれが、こんなものがあるからと聞こえた。  そうしてから少女の四肢に穴を開け、最後に胸の真ん中に、とどめを刺すように力一杯に杭を突き立てると、男はしばらくその少女を見下ろした後で、上を見上げて何事かを呟くと、鼻歌を歌いながら、赤く染まった身体にも注意を払わないままに立ち去った。  俺はその男の去り際の言葉が、耳に残って離れなかった。  「ずっとこうしたかった」  俺はその言葉の意味が理解出来なかった。しかしその言葉の真意が、勃起する程に興奮した自分の感情の理由である様な気もした。  俺はその時、もの凄い突風の音が耳元でするのを聞いた。その日は、特別強い風も吹いていない日だった。
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